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笑う犬とロック

かつてフジテレビで「笑う犬シリーズ」というコント番組があった。
ウッチャンナンチャンの内村光良さんの、
「純粋コント番組を作りたい」
の一言で始まった番組だという。
「笑う犬の生活」から始まり、「笑う犬の冒険」、「笑う犬の発見」、「笑う犬の情熱」、「笑う犬の太陽」と続いていくのだが、その成立と崩壊の過程は、まさにロックだと感じたものだった。

番組が始まった当初の勢いは、まさに、
「初期衝動」
というやつだったと思う。
ロックバンドの成立も、
「このままではいられない」
「何者かになりたい」
「世界を変えたい」
という、誇大妄想的な初期衝動であろうと思う。
それと同じである。

思いの強さに引っ張られて、テンションは高まり、創作意欲も強まる。
初期の笑う犬のクオリティの高さに、私は毎回興奮し、これを続けておられる内村さんの体を心配した。
しかし、深夜枠で始まった番組が、人気の高まりにつれてゴールデンに移り、制約が出て、放送時間も長くなってというなかで、番組の質は徐々に低下していった。
もちろん、内村さんも、それに気づいていただろう。
しかし、どうすることもできない。

深夜枠だけで、半年だけでやめていれば、「笑う犬」は伝説になっただろう。
セックス・ピストルズのように。
(ピストルズは、お年を召されてから再結成されたが、それはなかったこととして)
ただ、成功とビジネスは切り離せないものであり、衝動から習慣への移行も、売れれば避けられない。
「笑う犬」は、日に日に質を低下させ、最後にはコント番組としての体もなさなくなり、崩壊するように終了した。

当時、笑う犬のホームページに、スタッフのコメントが掲載されていて、そこに悲痛な叫びがあった。
質が下がっていることはわかっているのだが、いろいろ事情があるのだということ
事情があろうがなかろうが、質を下げていることに自分たちとして納得していないこと
などなどであった。
それらを読みながら、「ロックだなあ」と思ったものである。

ビデオで「笑う犬」を見ても、面白くはあっても、ロックは感じないだろう。
同時代性も、ロックを語るうえでのひとつの大きなポイントである。
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